朝島啓介(大阪芸術大学卒業)

 

 

長年〈受講生友の会〉のサポーターとしてこのセミナーに携わってきた私がこの度受講生として参加する決心をしたのは、セミナーが始まるちょうど一ヶ月前のことでした。私は過去にこのセミナーに度々参加し、約4年前の春期セミナーを最後に受講生友の会のサポーターとして受講生をお世話してきました。今回色々なタイミングが重なって急遽参加を申し込みました。

 

 

 

久々のベッケラー教授のレッスンを前に、私は楽しみで仕方がないワクワクと不安でいっぱいのソワソワした感情が入り混じった緊張感でいっぱいでした。というのも、ここ数年ピアノに触れる機会が音大生時代に比べ圧倒的に減ったからです。しかし、いざレッスンが始まるとそんな緊張感は一瞬にして吹き飛び、気が付いたらただひたすら目の前の音楽に向き合うことに一生懸命でした。また、教授の音色や響きの作り方に重きを置くご指導は、繊細な旋律や重厚な和音を会場の隅々まで響かせるためのヒントを与えて下さいました。かいつまんで言うと、手首の使い方です。16分音符が並ぶ上行形では、指先は固定し頂点に向けて手首をだんだん上に引っ張るように動かすことや深い和音を響かせるためにはピアノを実際に押すような感覚で手首をスウィングさせることなどの演奏法をあらゆる観点からご説明下さいました。更に私が個人的に苦手であるアルペジオのパッセージを確実に弾けるようになるための練習法もご提案下さいました。今までひたすらリズム練習をしていましたが、拍ごとに指の角度や手首がどのように動いているかを一つずつ確認し、それを2拍もしくは3拍ずつ小単位で繋げていく作業を繰りし行うことです。ベッケラー教授のレッスンは非常に要求が高いですが、教授の下で音楽の時間にどっぷり浸かれた喜びは何とも形容し難く、心の底から幸せでした。

 

 

 

セミナーではいつもレッスン風景や修了コンサートの撮影、そして受講生のサポートをしながら音楽を学べる贅沢な環境にいます。しかし、実際に参加し人前で弾く機会も得られた今回のセミナーで音楽を学べたことは格別でした。これから先どんなことがあってもピアノから離れまいと改めて強く感じました。音楽は競争ではありませんし、人にはそれぞれのテンポがあります。私は私の速度で焦らず、でも、のんびりせずに一つ一つの作品に真摯に向き合い、音楽を学ぶ喜びを次の世代に伝えられるようこれからもこのセミナーに携わっていきたいです。