三浦 天道(高校2年)
今回、本セミナーを受講できたのは、本当に幸運の巡り合わせによるものでした。
私は、一介のピアノ好きである一方、陸上部に所属する普通科の高校生です。高校生活は陸上中心の生活ですが、大きな競技会を前に病気で入院し、大会欠場を余儀なくされ失意に暮れていました。丁度その頃、昨年このセミナーを受講した私の先生から、ドイツに行ってみないか、絶対良い経験になりますよ、と勧められました。
しかしながら、普段ピアノの練習時間が少ない自分が受講して良いものか逡巡しました。悩んでいるうちに、この高校2年生の夏は高校生活の中で本気で自分を見直せる最後の夏休みだし、受験勉強に入る前に知らない世界へ飛び込みたいという願望が増していきました。また、私は自分のピアノを弾くことにより、いろいろな人と音楽を共有できる時間を持ちたいという気持ちがありますが、それを実現するには自分の未熟な演奏レベルを高める必要性を痛感していました。そこでこのチャンスを逃がすことはできないと、思い切って受講することに決めました。


私は5回のレッスンすべてを、情熱的なレッスンをしてくださるというシェーファー先生にお願いしました。レッスンにはショパン、バッハ=ブゾーニ、ラフマニノフ…と今まで私が長い期間あたためてきた曲を準備して臨みました。レッスン内容は、肩・腕の力の抜き方、手首の使い方、その曲の題名の意味、変奏曲を弾く時のルール…などでした。他の受講生の皆さんに比べると基礎的な内容だったと思います。内容について枚挙にいとまがありませんが、最も印象的だったのが、メンデルスゾーンの無言歌集から「狩人」のレッスンです。自分が弾いてもあまり情景が浮かばないのですが、シェーファー先生に弾いていただくと、まるで先生自身が銃を持った猟師であるかのようにピアノから乾いた銃声が聴こえ、獲物を捕らえた狩人の歓喜の声が目の前に迫ってくるようでした。レッスンを受けながらも感動してしまいました。

 

レッスンの総仕上げとして修了コンサートがあり、私はショパンのノクターンを弾きました。ミュンヘンの皆さんの笑顔に見守られ温かな雰囲気の中で演奏させていただきとても幸せでした。演奏後思いがけず喝采を受け、未熟ながらも今回のセミナーの成果があったのではないかと思うともに、満足感や何とも言えぬ高揚感を得ることができました。
レッスン以外のドイツでの生活も非常に密なるもので、沢山の出会いと経験がありました。ホームステイをさせてくださったご夫婦は本当に親切な方々で、陸上トラックを走りたいと言えば連れて行ってくださり、胃腸炎で倒れたときはお医者様の治療を受けさせてくださいました。奥様の美味しいお料理を頂きながらいろいろなお話をさせていただいた時間は特別なものでした。
ご一緒させていただいた受講生は、自分以外、美人音大生ばかりでした。自分が最年少であることから、皆さんにはミュンヘンの街中の観光や食事に誘っていただき、おかげさまでレッスン以外の時間を不安なく楽しく過ごすことができ、忘れられない思い出になりました。

 

今回のセミナーに参加して、ピアノに対して、更に熱い想いがこみ上げてきたように思います。今まで以上にピアノを好きになりました。レッスンの内容は基本的なことが多かったかもしれませんが、実はそれが日本では見つけられなかったことではないかと思っています。得られたその想いは、自分の音の世界を拡げてくれる予感がしており、これからの方向性が見つかって胸が高鳴ります。


最後になりましたが、今回指導していただいたシェーファー先生、お世話になりました小長さん、朝島さん、ホストファミリーのDr. Heuslerご夫妻、演奏を聴いてくださった皆様、本セミナーを紹介してくれた佐藤和穂先生に心から感謝いたします。また機会があればこのセミナーに参加したいです!ビールが飲めるようになってからですが…。
皆さま、本当にありがとうございました。